車庫証明の承諾書は不要? 賃貸借契約書で代用可能なこともある。
- 1. 賃貸借契約書を承諾書の代用とする要件
- 1.1. 駐車場の借主と申請者が同一名義
- 1.1.1. 契約書の賃借人が家族名義の時は駐車場の契約書を承諾書にできない?
- 1.2. 駐車場の契約期間に車庫証明の申請日が含まれていること
- 1.3. 車庫証明の申請日以降の契約期間が1ヶ月以上残っていること。
- 1.3.1. 自動更新は契約期間とみなされないので要注意!
- 1.3.2. 契約書を書き換えてもらうのが確実
- 1.3.3. 自動更新となっているときは領収書を添付する
- 1.3.4. 領収書などの料金支払いの記録もない時は承諾書
- 2. 戸建借家の賃貸借契約書で承諾書の代用は出来る?
- 3. 契約書に貸主・借主双方の署名(押印)が必要
- 4. 契約書に他の自動車が書かれているときは契約書を使えない?
- 5. 駐車場所有者の方向けの承諾書を出す時の注意点
賃貸借契約書を承諾書の代用とする要件
略して承諾書と呼ばれる「保管場所使用承諾証明書」に代えて、駐車場の賃貸借契約書を使用することが出来ます。全国共通かどうかまでは確認していませんが、兵庫県や大阪府では使用可能です。
賃貸借契約書で代用するメリットは、承諾書を取得する際に大家さんに支払う手数料を抑えることが出来ることです。
しかし全ての賃貸借契約書を無条件で承諾書の代わり使えるというわけではありません。
賃貸借契約書を承諾書代わりに使うためにはいくつかの条件があります。
- 駐車場の借主と申請者が同一名義であること。
- 駐車場の契約期間に車庫証明の申請日が含まれていること。
- 車庫証明の申請日以降の契約期間が1ヶ月以上残っていること。
この3つの条件は承諾書でも満たす必要がある条件です。
それに加えて賃貸借契約書で代用するときは以下の条件も満たす必要があります。
- 契約書で駐車場が契約対象であることが分かること。
- 契約日が記入してあること。
- 貸主・借主双方の署名・押印がしてあること。
- 他の自動車が契約対象となっている契約書ではないこと。
各要件についてもう少し詳しく解説していきます。まずは承諾書でも満たしておかなければいけない条件についてです。
駐車場の借主と申請者が同一名義
賃貸借契約書を使用するにあたって注意すべき点は、契約書の名義と車庫証明の申請者の名義が同一である必要があります。
例えば、神戸太郎さんが車庫証明の申請をするときは、駐車場の賃貸借契約書の「賃借人」の名義が神戸太郎さんでなければなりません。
神戸太郎さんと同居する太郎さんの父親の神戸一郎さんが駐車場の借主の場合、神戸一郎さんが借主となっている契約書を添えて車庫証明の申請をしても駐車場の借主が神戸一郎さんである以上、この申請は受け付けてもらえません。
住所や世帯が同じであっても、車庫証明の申請人の名義と賃貸借契約書の名義が一致していなければなりません。
「駐車場を夫名義で借りていて妻名義の車を持ちたい」というような時、名義の相違で引っかかるケースがありますので注意が必要です。
契約書の賃借人が家族名義の時は駐車場の契約書を承諾書にできない?
申請する警察署によっては契約書の名義人と同一世帯であることを証明する書類(世帯全員の住民票など)があれば賃貸借契約書で申請可能なこともあります。ただ、運用はかなりまちまちですのですべての警察署で使えるわけではありません。
車庫証明の申請者が未成年のときで保護者が駐車場の賃借人となっているようなケースでは親子関係が証明できる書類(続柄が記載された住民票の写しなど)をあわせて提出することで賃貸借契約書を承諾書代わりに使えます。
未成年の場合、保護者が契約者となることが一般的だからです。
自動車の使用者と賃貸借契約書の賃借人が一致していることが原則ですが、何らかの事情で駐車場所有者から承諾書がもらえない等の事情がある方は申請する警察署にお問合せください。
駐車場の契約期間に車庫証明の申請日が含まれていること
車庫証明を取得するためには申請日が駐車場の契約期間に含まれている必要があります。契約開始前あるいは契約期間満了後の賃貸借契約書では申請は受理されません。
新たに車を購入するにあたって駐車場を契約する方の中には、駐車場代を節約するために納車予定日以降に駐車場の契約が始まる設定したいという方もいらっしゃるかもしれませんが、少なくとも書面上は車庫証明の申請を行う前に駐車場の契約が始まるようにしておく必要があります。
個人の大家さんがやっている駐車場であれば融通がききやすいかもしれませんが、大手の不動産屋や駐車場管理会社が経営している駐車場では「書類の上では契約が始まるサービス」的なものは断られることが多いです。
車庫証明の申請日以降の契約期間が1ヶ月以上残っていること。
車庫証明の申請日以降の契約期間が1ヶ月未満の場合、申請を受け付けてもらえません。
月極駐車場の場合、契約書に契約期間が書かれていないケースが意外と多くあります。特に個人の大家さんご自身が募集や管理をしている駐車場では「口約束の覚え書き」のような契約書も多いので、賃貸借契約書の契約期間がきちんと書かれているかどうかを確認してください。
契約の開始日と契約期間もしくは契約の終了日(満了日)が契約書に明記されていなければ書類不備で申請を受け付けてもらえません。
自動更新は契約期間とみなされないので要注意!
車の買い替えで車庫証明をとるときに問題になることが多い事例です。
駐車場の賃貸借契約の場合、最低契約期間を契約期間として設定してそれ以降は解約の申し出があるまで自動更新とすることが一般的です。
契約書にも以下のようなことが書いてあるはずです。
契約期間: 令和x年1月1日から令和x年3月31日までの3ヶ月間。以後解約の申し出があるまで自動更新とする。
契約書の契約期間満了後も自動更新を続けていれば確かに契約は有効に継続しています。しかし車庫証明の申請においてはこのような文言になっている場合、契約期間は1月1日から3月31日までとみなされます。
なぜなら最初の契約期間を過ぎて自動更新の状態にある時は車庫証明申請日当日に契約が有効に継続しているかどうかを契約書だけでは判断できないからです。
そのため上記の例では「令和x年3月10日」に車庫証明の申請を出しても契約の残り期間が1ヶ月に満たないので申請は受け付けてもらえません。
契約書を書き換えてもらうのが確実
駐車場の所有者に契約期間を書き換えた新たな契約書を書いてもらうのが理想的ですが、そうすると承諾書をもらった方がいいのではないかと思えなくもありませんし、手数料を請求されることがあるかもしれません。
自動更新となっているときは領収書を添付する
契約書の書き換え以外にも、駐車料金の領収書があれば領収書をあわせて提出することで契約が現在も有効であることを証明出来ます。
全ての警察署で領収書が使えるわけではないようですが、兵庫県や大阪府の警察署では領収書の添付により契約の有効性を証明することが出来ます。お住いの地域の警察署で確認してみてください。
賃料が前払い(前月末までに翌月分支払い)の契約条件であれば領収書をそのまま提出すれば1ヶ月以上の契約期間が残っていることの証明になります。
しかし、当月払い(月末までに支払い)の契約条件であれば領収書では当月分の支払いをしたことしか証明できないので1ヶ月以上の契約期間が残っていることの証明にはなりません。
当月払いの契約の場合、前もって翌月以降の賃料を支払うことで領収書で1カ月以上の契約が残っていることを証明することが出来ます。
領収書がない時は振込用紙の控えやATMの取引の控えでも代用可能なところもあります。
領収書などの料金支払いの記録もない時は承諾書
賃貸借契約書ではなく原則通り承諾書を提出します。
承諾書に記載する使用期間についても、「車庫証明の申請日が契約期間に含まれる」「車庫証明の申請日以降の契約期間が1ヶ月以上ある」という要件は必要ですから、承諾書をもらう際に使用期間の開始日と終了日にはご注意ください。
戸建借家の賃貸借契約書で承諾書の代用は出来る?
一戸建ての借家に駐車場がついているときは賃貸借契約書では代用できないことがあります。
賃貸借契約書に駐車場も賃貸借の対象であることが書かれていなければなりません。なぜなら「建物だけが契約の対象で駐車場は契約の対象ではない」ということもあり得るからです。
賃貸住宅で広く使われている標準的な契約書であれば部屋や建物の項目のほかに「附属施設」という項目があります。
そこに契約内容に駐車場が含まれるかどうかが書かれていますのでご確認ください(契約書によっては「附属施設」という項目がないこともあります)。
土地全体が契約対象となっている場合は、使用目的に制限がなければ賃貸借契約書を承諾書代わりに使うことが出来ます。
契約書に貸主・借主双方の署名(押印)が必要
契約日、貸主・借主双方の署名が必要です。契約対象が駐車場、賃貸住宅、土地であるかを問わず契約書には備わっている項目ですが、ごくまれに書き忘れていることがあります。
特に借主側の署名は要注意です。提出前にこれらの項目に不備がないかご確認ください。車庫証明の取得をディーラーにお任せする時は、不備があると車庫証明の取得が延びてしまいます。
押印に関しては、令和3年4月1日以降の印鑑使用廃止の流れで契約書に押印がないから車庫証明で使えないということはなくなってきていますが、統一した基準があるわけではないので警察署によっては契約書の押印があるかどうかをチェックするところがある可能性もあります。
契約書に他の自動車が書かれているときは契約書を使えない?
車の乗り換えの時に問題になるケースです。駐車場の契約書には駐車する自動車の登録番号(ナンバー)を書くようになっていますが、今回車庫証明を申請しようとする自動車以外の番号が書かれている契約書をそのまま使うことが出来ないことがあります。
警察署というよりは担当者によって違ってきます。契約書に書かれている車両がどうなったのかをつっこまれます。
「保管場所の所有者がその車両を駐車することを認めていないのではないか」というのがその理由らしいですが、承諾書の場合すんなりいくことでも契約書で代用すると引っかかることが時々あります。
その場合、契約書に書かれた車両がどうなったのかを説明する書類(新しい保管場所に移転した時はその車の保管場所標章番号、売却等で廃車にしたときはその説明書)が必要になります。
駐車場所有者の方向けの承諾書を出す時の注意点
保管場所使用承諾証明書を発行するにあたって、使用期間を空白のまま契約者様にお渡しになる方が多くいらっしゃいますが、契約者様に納車スケジュールをお尋ねの上、納車予定月+3-6ヶ月程度を目安に使用期間を記入の上、契約者様へお渡しすることをおすすめします。
承諾書記載の使用期間中に転居などの事情で契約が途中終了した場合、前契約者の方が車庫の移動手続きをしていなければ使用期間中は新契約者が同一の区画で車庫証明を取得することが原則として出来なくなります。