車庫証明をとるために月極駐車場の短期契約は出来る?
車庫証明のためだけの駐車場の短期契約は難しい。
「車を買うために駐車場を探したけど遠い駐車場しか空いていない」「就職先・転勤先で車が必要になるので引越し前に車だけ用意しておきたい」-などの理由でとりあえず一時的に駐車場を確保して後々駐車場を変えたいという方もいらっしゃるかもしれません。
結論を先に書きますと、車庫証明を取得するための月極駐車場の短期契約は断られる可能性が高いです。可能性が高いといよりも、普通は断られます。
車庫証明の申請に必要な使用承諾書が発行可能な駐車場の場合、商慣行として最低契約期間を設定して1-2カ月程度の短期間の契約は出来ないようになっています。
短期契約は「車庫飛ばし」を疑われる
そもそもなぜ車庫証明が必要なのかというと、通称"車庫法"と呼ばれる『自動車の保管場所の確保等に関する法律』という法律で定められているからです。
路上駐車や他人の土地に勝手に車を止める違法駐車を防ぐため「車を保有する前にまずは駐車場を確保してね」というのがこの法律の趣旨です。
違法駐車や迷惑駐車のトラブルは今でも非常に多いですが、「自動車登録のため一時的に駐車場を確保して登録後すぐに解約」というようなことがまかり通ると今以上に酷くなることは容易に想像がつきます。
一時期は書類さえ整っていれば警察署職員による現地調査をほぼしていないこともあったようですが、現在は地域によって差があるものの調査の外注を行う等して書類と実態の調査を行うようになってきています。
短期間の月極駐車場契約はこの車庫法の規制を逃れる目的でなされる可能性が非常に高いので駐車場所有者は使用承諾書の発行を伴う短期契約を断っているのです。
車庫飛ばしとは?
車庫法の規制を逃れる目的で実態とは異なる虚偽の自動車保管場所を登録・届出する行為のことを「車庫飛ばし」といいます。
車庫飛ばしは以下のようなことを目的に行われます。
- 駐車場代を節約するため
- 人気地域のナンバープレートが欲しい
- 引っ越しても駐車場の変更届を出さない
車庫飛ばしの多くは「駐車場代の節約」が動機となっています。駐車場代の安い地域に住民票を移したり事業者の場合営業実態のない事務所を設置して自動車の登録を行います。
そのほか一見すると違法性はなさそうにも見えますが学生が実家の駐車場で自動車登録をして遠方の下宿先で自動車を使用する行為も車庫飛ばしになります。
なぜなら下宿先が主に自動車を使用する場所なので使用の本拠の位置は下宿先にしなければならないからです。
そして次に多いと思われるのが「人気ナンバー」目的の車庫飛ばしです。関西ではそれほど意識されないかもしれませんが、「品川」「横浜」「湘南」などといった人気ナンバーを目的に車庫飛ばしに手を染めてしまう人もいるようです。
駐車場の所有者は車庫飛ばしと関係があるの?
通常、車庫飛ばしで検挙されるのは虚偽の保管場所申請を行った自動車の所有者(使用者)です。
検挙される可能性がなければ駐車場の所有者がわざわざ車庫飛ばしの心配をする必要がなさそうにも思えますが、冒頭触れた通り駐車場の所有者の方は車庫飛ばしを防ぐために最低契約期間を設けたり、一定期間分の保証金をとるなどの防御策をとっています。
駐車場の所有者が契約者の車庫飛ばしを嫌がる理由
駐車場の所有者にとって車庫証明の発行を伴う契約をすることには多少なりともリスクがあります。
自動車の保管場所として登録され続けている間はその区画で他の自動車の車庫証明をとることが出来なくなってしまうからです。
当たり前といえば当たり前の話なのですが、駐車場の所有者には厄介な問題です。
もし前の契約者が自動車保管場所の移転手続きもしくは廃車手続きをせずにいなくなってしまうと、所有者自ら必要な書類を揃えて警察署で手続きをしなければならないので手間がかかります。
手間がかかるだけならまだいいのですが、車庫証明をすぐ取得できる前提で新たな借り手と契約をしてそれが出来ないとなると新たな借り手との間でも契約上のトラブルが発生してしまいます。
出来るだけトラブルには巻き込まれたくないと思うのが普通ですし、車庫飛ばしという違法行為をする人は滞納やその他のトラブルのリスクも高いと考えてあえてリスキーな短期契約をしたくない駐車場オーナーが多いようです。
使用承諾書の発行自体が出来ない月極駐車場もある
「車庫証明不可」「承諾書発行不可」という注意書きのある駐車場をみたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
駐車場の中には車庫証明を取得するための自動車保管場所として認めていない駐車場もあります。都市部の駅周辺やオフィス街の駐車場では意外と多く存在しています。
「車庫証明不可」としている理由はいくつか考えられますが、「定期使用」という駐車区画が決められていないタイプの駐車場もあります。このような駐車場ではそもそも車庫証明を取ることが出来ません。
その他、事務手続きが煩雑になることを嫌っているケースもあります。
単に事務手続きが面倒という理由で車庫証明不可としているところでは、承諾書に代えて賃貸借契約書を提出して車庫証明を申請することが出来ることもあります。
車庫証明の承諾書は不要? 賃貸借契約書で代用可能なこともある。 | くるまの手続き百科 (55car-tetsuzuki.com)
但し、無断で自動車保管場所にしてしまうと後々トラブルになることもあります。「車庫証明不可」となっている駐車場では必ず事前に管理会社や駐車場所有者に了承をとる必要があります。
了承が得られない時は、残念ながら他の駐車場を探すほかありません。